その8 カツ丼
 

わたしたち姉妹を動かした椎名さんの名文の一部を紹介する。久しぶりに読み返したら、また目の前にカツ丼がちらついてきた。


(読みやすさを考慮して漢数字を洋数字に変えました)

  ここに登場する小岩の「とんちゃん」という店のカツ丼は、当然見たことも、食べたこともない。具は、書かれている通りのトンカツと玉子と玉葱。この先を読むと、カツはちょっと焦げ気味に揚がっていて、タレは色のわりに薄味らしい。それだけをたよりに作ってみた。玉子は1個となっているが、衣で余る分も具に加えて1個半とした。出汁は濃いめに取った。もちろん顆粒出しでもいいし、市販のつゆの素だっていい(その場合は調味料はいらない)。豚肉もロースにかぎらず、ヒレ肉、肩ロースなど好きなのを選んでください。総菜屋で買ったカツでももちろん大丈夫。

〈材料〉一人分 

豚ロース肉トンカツ用 1切れ(100~150g)、玉葱 1/4個、卵1個半
(衣用)  小麦粉、卵、パン粉、水、サラダ油
(タレ)  だし汁50cc、醤油(濃い口)大さじ1、みりん大さじ1、
酒 大さじ1、砂糖 小さじ2、塩・こしょう、揚げ油

〈作り方〉

(1)お肉の筋を切り、フォークで肉全体をつつく。肉をかるくたたく。両面に塩・こしょうする。
 
(2)衣をつける。卵半個分に水とサラダ油を少し加えてよく溶いておく。肉に小麦粉、卵液、パン粉の順に衣をつけていく。小麦粉はしっかりつけてからはたいて、余分な粉をおとす。パン粉はつけてからしっかり押さえておく。
(3)揚げる。油をあたためる。はじめは少し低温(160℃くらい)で片面2分ずつ、つぎに火を強くして1~2分、カリッとさせ焦げ目をつける。
 
(4)油をよく切って、数分置く。5~6切れに切る。
 
(5)玉葱を薄切りにする。卵は溶いておく。
(6)小さなフライパン、もしくは小鍋にタレの材料のみりんと酒を入れて火にかけ、沸騰させる。ここに出汁と残りの調味料、玉ねぎを加える。
 
 
(7)グラグラと煮えてきたら、トンカツを加え、(ここで「とんちゃん」の旦那は蓋をした、がわたしはしない)20数えて、卵の半分を回し入れ、蓋をする。
 
 
ここでまた20数えて蓋をあけ、残りの卵を加え、好みの火の通し加減にする。
(8)丼にご飯をよそい、上に具をかける。
 
 
丼の蓋があれば、蓋をする。その方が味がよくなじむ。