その10 果物のコンポート(砂糖煮)
『シチー』の回でも引用しているこの文章は、わたしたちが通った在プラハソビエト学校の食事について紹介したものだ。
次にあげるのは夏の林間学校について。ソビエト学校の夏休みは6月1日から丸々3カ月あり、しかも、休みの間は宿題を出さない決まりだ。
食事について詳しく書いているわけではないが、キャンプの雰囲気をお伝えしたいので引用した。
「ピオニール・キャンプ」というのはソ連版ボーイスカウトのこと。子どもは10~15歳の間、所属することになっている。
チェコにいたのはもう六〇年以上前のことなのに、夏休みのキャンプの日々はあまりに楽しく、昨日のことのようによく覚えている。
今回の料理はコンポート。
果物をシロップ—砂糖水で煮たもので、ワインを使うこともある。
引用した最初の文章の第二朝食のところで書かれている果物の煮汁、というのはコンポートの煮汁に少しとろみをつけたもの。お昼ご飯について、「デザートは果物を使ったお菓子が多い」と書いてあるが、コンポートのことが多かった。さくらんぼのゼリーだって、コンポートをかためたものだ。林間学校で収穫したサクランボも翌日にはコンポートになって食卓にならんだ。町の食堂でもコンポートは定番中の定番のデザートなのだ。
チェコの気候は大雑把に言って北海道くらい。日本の本州やヨーロッパ南部のように、たくさんの種類の果物が季節ごとに豊富に穫れるわけではない。旬の時期に目にするのは、リンゴ、洋ナシ、スモモ、アンズ、サクランボ、それにベリー類くらい。だから果物はとても大切で、たくさん穫れる時期に保存食にする。コンポートはジャムほど長期に保存することは出来ないが、煮沸消毒した容器に入れればしばらくはもたせられる。
日本の果物は生で食べるために作られているからか、とても甘くておいしい。でも火を通すと味も香りも薄く、頼りなくなってしまう。チェコで食べた果物は、生で食べると、少し酸っぱかったりほろ苦かったりしたが、コンポートにすると、味が濃く、滋味深かった。そういえば体調の悪いとき、リンゴのコンポートを食べなさい、と学校でも病院でも言われた。
今回、リンゴとサクランボはシロップ煮に、乾燥プラムとアプリコットはワイン煮にしたが、逆でもいいし、水とワインを混ぜてもよい。洋ナシ、ビワ、モモ、イチジク(生でも乾燥でも)などでもお試しを。
リンゴのコンポート
<材料>
リンゴ中2個、砂糖150g、レモンの輪切り1~2切れ、 水400ml、シナモン、粒コショウ
<作り方>
(1)リンゴを四つ割りにして、皮をむき、芯を取る。
(2)鍋に材料を入れ、紙蓋をして火にかける。
(3)リンゴが透き通るまで10~15分煮る。火を止め、そのまま冷ます。
サクランボのコンポート
<材料>
サクランボ300g、砂糖100g、水300ml、 レモンの輪切り1~2切れ、バニラのサヤ、粒コショウ
<作り方>
(1)サクランボの軸をとる。
(2)鍋に水、砂糖、レモン、バニラ、コショウを入れ火にかける。
(3)沸騰したらサクランボを加え、2~3分煮る。火を止めそのまま冷ます。
*オリーブの種取り器。このような道具があれば①で種を取ってもよい。
乾燥プラム、アプリコットのワイン煮
<材料>
☆ | 乾燥プラム150g、赤ワイン200ml、砂糖30g、 レモンの輪切り1切れ、バニラのサヤ、粒コショウ |
☆ | 乾燥アプリコット150g、白ワイン200ml、砂糖30g、レモンの輪切り1切れ、シナモンスティック、粒コショウ |
<作り方>
(1)鍋に果物以外の材料を入れ、火にかけて沸騰させる。
*プラム
*アプリコット
(2)果物を加え、ひと煮立ちしたら火を止め、そのまま冷ます。
今回使った乾燥アプリコットはたまたま色がとても濃かった。もっと明るいオレンジ色のものでももちろん良い。
材料表の分量はあくまで目安。
水分の量は、鍋の大きさによって変わる。果物がやっとつかるくらいの量を。砂糖の量も材料の甘さによるので、最初少なめに入れて、味見しながら調整すればよい。
香辛料も、お家にあるもの、好きな香りのものを使えばよい。八角(スターアニス)や丁子(クローブ)もよく合う。
コンポートはこのままでも美味しいけれど、ヨーグルトやアイスクリームに添えたり、ゼリーにしたり、タルトの具材にしたり、といろいろ楽しめる。
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