その2 ブランボラーク

~ジャガイモのパンケーキ~

万里は別のエッセイで、新大陸から渡ってきたジャガイモがヨーロッパ、そしてロシアに根付くまでを、かなり詳細に、ちょっと学術論文風に紹介している。その書き出しはこちら。

 わたしたちが少女時代をおくったチェコも、ロシアやドイツにおとらず、食べない日は無いというジャガイモの国だ。そのせいなのか、ふたりともジャガイモが大好きでジャガイモ料理をよく作った。付け合わせに茹でたり、マッシュポテトにしたり、揚げたり、煮たり、蒸し焼きにしたり。ちなみに万里は揚げ物が好きなので、フライドポテトをよく作った。
 姉はポテトチップスも大好きだった。近所の商店街のお菓子屋さんには量り売りのポテトチップスが売られていたのだが、ある日万里は200グラムも買ってきて、それを一気食いしたものだからさすがに胸やけをおこしていた。

 今回紹介するのは、ブランボラークというチェコの代表的なジャガイモ料理。お好み焼き、というかパンケーキというか、すりおろしたジャガイモに粉、卵を混ぜてフライパンで焼いたもの。そのままをビールのつまみやおやつにすることもあれば、肉料理の付け合わせにもなる。ベラルーシのミンスクに行ったときに教えてもらったドランニキもこれによく似ていたが、こちらには玉葱が入っていて、食べるときにサワークリームを添えていた。ドイツ、ウクライナ、ポーランドにもほぼ同じ料理がある。チェコの特徴は香りにマージョラムを加えることかな。レシピでは小さじ1にしたが、好きな人はこの数倍入れる。

〈材料〉4人分(作りやすい分量)

ジャガイモ 中3個、ニンニク 1~2片(好みで増やしても)、卵 1個、小麦粉 大さじ3~4、塩、胡椒、マージョラム 小さじ1(好きなハーブでどうぞ)、油またはラード

〈作り方〉

(1)ジャガイモを粗めにすりおろす。写真のような粗いおろし金が無かったら目の細かいものでも一向にかまわない。

ジャガイモの水分が多かったら軽く水を切る。
巻きすに取ってもいいし、

ボールの中身を手で押さえながら静かに傾けて水を捨ててもいい。

ニンニクはすりおろすか、細かく刻む。

(2)ジャガイモに卵、小麦粉、ニンニク、塩、胡椒、マージョラムを加え、混ぜる。
小麦粉は生地をまとめるためなので、混ぜながら量を加減して、写真ぐらいの濃度にする。
(3)フライパンに多めのラード、または油をいれ、(2)を中火で焼く。

表面の周囲が乾いてきて、縁に焼き目がついてきたらひっくり返す。

 小ぶりのをいくつか焼いてもいいし、フライパンいっぱいに大きく焼いてもいい。小さかったら4~5分、大きかったら7~8分で焼ける。焼き目のカリカリが好きだったら、薄めに焼けばよい。

 この料理、分量はあってないようなもの。ジャガイモの大きさ、水分の多さで卵、粉の量は決まる。ジャガイモもいろんな種類があるけれども、自分の好きな銘柄で、気軽に作ってください。万里の贔屓はキタアカリ。