その4 若鶏のタバカ焼き
グルジアは現在、ジョージアという国名だが、旧ソ連の共和国の一つだった。それでこの料理はソ連中で知られ、愛され、作られるようになったわけだ。今回、レシピを調べてみたが、ジョージアでは本来、雛鳥を開いて骨を抜いて作る。また唐辛子と香草入りのプラムソース、トケマリを付け合わせるのが決まりだ。コーカサスの市場をのぞいたことがあるが、さまざまな香草が売られていた。アサツキ、コリアンダー、パセリ、ディル、タラゴン、等々。そしてレストランで食事をすると、それらの香草が無造作に食卓に置かれる。西洋のサラダとちがって味がついていないのだが、だからこそさっぱりと口直しになる。 さて今回のレシピだが、わたしはトケマリソースを食べたことがない。書物から再現はできるけど、コーカサスのプラムがどんな種類かわからないし、わかったとしても日本で手に入るプラムと味が同じかも不明だ。万里からもこのソースについて聞いたことはないので、ソースなしでおゆるしいただきたい。また雛鳥ではなく、手に入りやすいもも肉にした。地鶏なら骨なしでも美味しいが、そうでなければ骨付きの方が断然味がよくなるので骨は抜いていない。もちろん骨なしで作っていただいてもけっこう美味しいはず。 最近東京にロシアの食材を売る店ができて、そこでジョージアのハーブミックス、フメリ・スネリ、というのを見つけた。
これを使おうと思ったけど裏の説明を読んでも、タバカに、とは書いていない。どうもひき肉などの詰め物やソースに加えるといいらしい。なので今回は使わず、生のハーブで作った。 ちなみにわたしの鶏料理ベスト3は、参鶏湯、焼き鳥、ローストチキン。これは今日のところ。明日聞かれたら、棒棒鶏とよだれ鶏と鶏の悪魔風をあげるかも。
〈材料〉2人分
骨付き鶏もも肉2本(またはもも肉2枚)、赤唐辛子2本、ニンニク3片、香草(前述のものを好みで数種類)片手にひとつかみ*写真は左からチャイブ(西洋アサツキ)、タラゴン、パセリ、コリアンダー(パクチー)、塩、バターまたは油 大さじ2
〈作り方〉
(1) | 鶏モモ肉の内側、骨に沿って、包丁で切り込みを入れ |
次に関節のところにも切れ目を入れる。ラップをかぶせ、肉たたきで特に骨のあたりをたたいて、少し平らにする。
ハーブはあらく刻む。ニンニクは叩きつぶして、唐辛子は種をとって刻む。
油(オリーブ油でもサラダ油でも)を少し加える。
(2) | 鶏肉にこのハーブミックスを手で刷り込むようにまぶし、ラップをして数時間つけておく |
(3) | 肉についているハーブ類を手でおとし、塩をふる。 |
(4) | フライパンにバターまたは油をいれて(半々でもいい)中火にかける。あたたまったら、火を少し弱くして、皮目を下にした鶏肉を入れる。 |
この上に重しを載せる。ここでは一回り小さいフライパンにお水を入れた鍋を載せた。レンガや漬物石でもいいかもしれない。
(5) | 10分したら重しをはずして様子を見る。骨なしだったら7分ぐらい。肉の表面が白っぽくなり出していたら、7~8割がた火は通っている。まだだったら、もう少し焼く。 |
ひっくり返して、今度は重しをしないで3分焼く。
(6) | これで出来上がり。残ったハーブを添えた。このままでも味はしっかりついているので美味しい。好みでレモンをかけてもいいし、万里が書いているように、ロシア風にニンニクを加えた溶かしバターをかけてもいい。トケマリソースならきっともっといい。 |
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